4歳の息子に初めて虫歯が見つかり、韓国で治療を受けることになりました。
ただ、うちの子はHSC(ひといちばい敏感な子)気質があり、音やにおい、雰囲気にとても敏感。
「きっと普通の治療は無理だろうな…」と思い、記憶が残らない鎮静麻酔(精神鎮静法)を使うことにしました。
同じように「病院が苦手な子」「感覚に敏感で治療が難しい子」を育てている方の参考になればと思い、当時の記録をまとめました。
HSCに歯医者さんはハードルの高い場所
うちの息子は小さい頃から感覚がとても敏感で、
といった特徴があります。
健診や予防接種でもいつも大泣きで、歯医者さんは彼にとってまさに“敵地”でした。
虫歯が見つかった日、提案された治療法
定期健診で虫歯が2本見つかり、銀歯をかぶせる必要があるとのこと。
歯医者さんからは、次の2つの治療法を提案されました。
笑気麻酔は、バニラのような甘いにおいのガスを鼻から吸って、リラックスした状態で治療を受ける方法。
軽い鎮静効果があり、痛みや不安をやわらげてくれますが、意識はあるため、感覚過敏がある子には逆に合わないことも。
一方の鎮静注射(静脈内鎮静法)は、体に鎮静剤を入れてぼーっとした状態で治療を行う方法です。
眠ってしまうわけではありませんが、治療中の記憶が残らないのが最大の特徴。
リラックス効果も強く、トラウマになりにくいというメリットがあります。
まずは「笑気治療」を試したけれど…
「もしかしたらできるかも?」と期待を込めて、まずは笑気治療にトライしてみました。
…が、マスクを鼻にあてた時点でギャン泣き。
においや装着感が無理だったようで、全く治療にならずそのまま帰宅。
先生から「無理やり押さえて治療することもできますが…」と言われたものの、うちの子にとっては逆効果だと判断しました。
鎮静注射で虫歯治療、当日の流れ
後日、精神鎮静法を使って治療を受けることに。
当日は夫も付き添い、まずは吐き気どめの薬を服用。
続いてお尻に注射を打ちました。
緊張もあってか、待ち時間のあいだにトイレに3回…。
いざ治療が始まると、意識はあるもののやはり泣いて暴れてしまい、1時間ほどの治療はほぼギャン泣き状態でした。
私は別室で待機していたのですが、ただただ終わるのを祈る気持ちで「無」の状態に…。
こういう時、親の心もけっこう削られますね。
治療中は泣きっぱなし。でも…
注射が効いてきて、息子はぼーっとした感じに。
でも意識はあるので、治療が始まるとギャン泣き&暴れる…。
1時間ほどの治療、泣き疲れて最後は声がかれてしまいました。
夫が息子に付き添い、私は別室で待っていたのですが、「今はただ終わるのを待つしかない…」と、心を「無」にして過ごしていました。
治療後はぐったり。でも記憶はなし!
治療後の息子は、ふらふらで歩けないほどぐったり。
簡易ベビーカーで連れて帰ると、そのまま眠ってしまいました。
…が、家に着いてしばらくすると目覚めてギャン泣き。
「おもちゃ買いに行くって言ったじゃーん!!」と、まさかの“覚えてる記憶”がそこ(笑)
意識がもうろうとしていたせいか、足元がふらつきながらも「おもちゃ!おもちゃー!」と叫びながら何度も転んでいました。
でも、治療中のことはまったく覚えていない様子。
「注射されたのは覚えてるけど、その後はなにもわからない」と言っていて、トラウマにならずに済んだのは本当にありがたかったです。
ちなみに、「鎮静麻酔って子どもに安全なの?」と不安に思う方も多いかもしれません。
医師の判断のもとで適切に使用すれば、基本的には安全とされています。
ただ、治療後は少し眠気が残ったり、ふらつくことがあるので、しっかり休ませてあげることが大事です。
虫歯になった原因と親の反省
もともと歯磨きが大嫌いだった息子。
赤ちゃんの頃から、歯ブラシを口に入れるだけで泣いてしまって、毎晩必死にあの手この手で対応してきました。
保育園に入るまではスナック菓子も気軽にあげてしまっていたので、今思えば虫歯リスクが高かったかも…。
さらに、歯医者さんから「歯が弱いタイプかもしれませんね」と言われ、遺伝的な要因もあるようでした。
歯みがきが嫌いな子どもにしっかり歯磨きをさせるって、本当に難しいですよね。
日々の積み重ねが大事とはわかっていても、現実はなかなか思うようにいかないものです。
治療費は約4万円!やっぱり高い…
今回の治療費は、虫歯2本+鎮静注射込みで約4万円。
日本の保険治療をイメージしていた私はびっくりしましたが、韓国では虫歯治療は保険適用外のケースが多く、これが“普通”なのだとか。
歯科保険に入ることもできるようですが、保険料や内容をよく確認しておかないと、結局は自己負担と変わらないことも。
虫歯になりやすい子なら、早めに検討しておくのも一つだなと感じました。
HSCの子の治療には“選択肢”があると知った
今回の経験を通して、いちばん感じたのは、「治療方法を選べる」ことの大切さ。
無理に押さえつけて治療することもできたけれど、それがトラウマになってしまっては、今後ずっと歯医者が嫌いになってしまうかもしれません。
HSCのように感覚が敏感で不安が強い子には、
治療を遅らせることも含めて、本人に合った方法を選ぶことが本当に大事だと思いました。
今後は、3か月に1度の定期健診とフッ素塗布を続けながら、虫歯予防を第一に。
成長とともに治療への理解も進んできたので、次はもっとスムーズに進むといいな…と期待しています。
最近では笑気治療もできるようになってきました。
さいごに:同じ悩みを持つ親御さんへ
歯医者さんって、ただでさえ子どもにとって怖い場所。
そこに「繊細さ」や「こだわり」が加わると、ほんとうにひと苦労ですよね。
でも、焦らなくても大丈夫。
年齢とともに少しずつ慣れてくることもあるし、「その子なりのペース」で進めていくことがいちばん大切なんだと、今回あらためて感じました。
あの日の息子も、私たちも、本当にがんばったなぁと今では思えます。