「そんなことで?」
最初は、正直そう思ってしまうこともありました。
スーパーの店内放送。
フードコートのざわざわした声。
突然流れる音楽。
息子は、小さい頃から“音”にとても敏感な子でした。
お店に入った瞬間に表情が固まり、
「もう帰りたい」と言い出すこともあります。
特に人の多い場所や、色々な音が重なる空間はかなり苦手でした。
今思えば、息子にとっては“音”そのものというより、
その場の空気や雰囲気まで一気に入ってきてしまっていたのかもしれません。
今回は、そんな息子と暮らしながら感じた、
「音に敏感な子」の世界について書いてみたいと思います。
赤ちゃんの頃から、音への反応が強かった
息子は赤ちゃんの頃から、とにかく音に敏感でした。
やっと寝たと思っても、
カタッ
という小さな物音だけで、びくっと起きてしまう。
ドアを閉める音。
食器を置く音。
床を歩く音。
普通なら気にならないような生活音にも反応していて、
常に“浅く眠っている”ような感じでした。
周りの赤ちゃんを見ても、ここまで反応する子はあまりいなかったので、
「これは大変な育児になりそうだな…」
と感じたのを覚えています。
小さい頃は、音だけでなく、
光や人の多さにもかなり疲れやすくて。
外出するだけでぐったりしてしまうことも多く、
私たち親のほうも、気づけばかなり消耗していました。
「音」だけじゃなく、“空気”にも疲れていた
園児くらいになると、息子の“苦手な音”が少しずつ見えてきました。
特に苦手だったのは、
など。
お店に入った瞬間に表情が変わってしまい、
「なんかイヤ…」
「帰りたい…」
と言い出すこともよくありました。
最初は私も、
「そんなに嫌かな?」
と不思議だったんです。
でも一緒に過ごしているうちに、
息子にとって音は、“ただ聞こえるもの”ではないんだろうなと感じるようになりました。
音そのものというより、
その場の空気や人の感情まで、一気に入ってきてしまうような感じ。
特にバラード系の音楽は、
「悲しくなる」「怖い感じがする」と言うこともありました。
大人には何気ない空間でも、
息子にとっては“刺激が多すぎる場所”だったのかもしれません。
キッズカフェも、映画館も苦手だった
特に大変だったのが、人の多い場所でした。
キッズカフェやフードコート、イベント会場などは、
入っただけで疲れてしまうことが多く、
長く滞在するのはかなり難しかったです。
大きな声。
BGM。
店内アナウンス。
色々な刺激が一気に入ってくる環境は、
息子にとってかなり負担が大きかったんだと思います。
映画館も苦手でした。
暗い空間に、大きな音。
途中で逃げにくい雰囲気。
学校行事で映画鑑賞があった時は、
思い切ってお休みしたこともあります。
周りから見れば、
「そこまで?」と思われるようなことでも、
本人にとっては本当にしんどかったんですよね。
そして正直、
外出するたびに息子の様子を気にしていたので、
私たち親のほうもかなり疲れていました。
「家族で普通に出かける」
それだけでも、当時のわが家にはかなりハードルが高かったのです。
「慣れさせるべき?」ずっと悩んでいた
いちばん悩んだのは、
「無理してでも慣れたほうがいいのかな?」
ということでした。
避ければ落ち着いて過ごせる。
でもその分、
行けない場所は増えていく。
一方で、無理をすると、
その場では頑張れても、あとから一気に疲れが出てしまう。
どこまで配慮して、
どこから頑張らせるのか。
正直、この線引きは今でも難しいです。
周りの子が普通にできていることが、
息子にはものすごく負担そうに見えることもあって。
「このままで大丈夫なのかな」
と不安になることも何度もありました。
でも一方で、
音がつらそうな姿を見るたびに、
「今はまだ無理しなくていいのかもしれない」
とも感じていて。
結局ずっと、
“その時の息子にとって、一番負担が少ない方法”
を探しながらやってきた感じです。
わが家で少しラクになった工夫
色々試した中で、
わが家がいちばん大事にするようになったのは、
「無理に慣れさせないこと」
でした。
もちろん、少しずつ経験することは大切。
でも、
“限界を超える場所”へ無理に連れて行くと、
あとで何倍にも疲れが返ってくるんですよね。
なので、できるだけ、
など、
環境を整えることを意識するようになりました。
「今日は音が大きいかもしれないよ」
と先に伝えるだけでも、
少し安心できることがあったように思います。
また、家ではテレビをつけない生活を始めてから、
親子ともにイライラが減った感じがありました。
以前は、なんとなくテレビをつけっぱなしにしていることも多かったのですが、
音を減らしてみると、思っていた以上に気持ちがラクになったんですよね。
また、行事や人の多い場所では、
イヤーマフを使ったほうがいいのかな…と悩んだ時期もありました。
「慣れなくなるんじゃないか」
「逆に避けすぎてしまうのかな」
そんなふうに迷って、すぐには使えなかったんです。
でも今は、
“無理に頑張り続ける”より、
少しでも安心できる方法があるなら、それもひとつの選択なのかなと思っています。
実際、イヤーマフも、
「絶対につけるもの」というより、
お守りのように持っているだけでも安心感が違うのかもしれません。
私も、静かな環境のほうがラクだった
実は私も音にかなり敏感なタイプで、
静かな環境のほうが落ち着くんですよね。
以前は、なんとなくテレビをつけっぱなしにしていることも多かったのですが、
音を減らしてみると、思っていた以上に気持ちがラクになりました。
今はニュースや情報も、できるだけ静かな方法で取り入れるようになって、
Kindleで本を読む時間が増えました。
育児や気質についての本も読み放題対象が多く、
当時はかなり読み漁っていた記憶があります(笑)
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少しずつ、「大丈夫」が増えてきた
もちろん、今でも苦手な音はあります。
映画館は途中で出たくなることもあるし、
人の多い場所ではかなり疲れます。
でも以前より、
「これは大丈夫」
「これは無理そう」
を、自分で判断できるようになってきました。
印象的だったのは、風船です。
以前は、
“割れる音を想像するだけ”で怖がっていたのに、
最近は少し平気になってきました。
そしてもうひとつ驚いたのが、
息子のほうから、
「ダンス教室に行ってみたい」
と言い出したこと。
今までは音が理由で避けてきたので、
正直かなり驚きました。
もちろん、すべての音が平気になったわけではありません。
それでも、
“自分から一歩踏み出せる場面”
が増えてきたのは、大きな変化だった気がします。
安心できる環境やタイミングが合えば、
子どものほうから変わっていくこともあるんですよね。
さいごに|「聞こえ方」が違う子もいる
以前の私は、
「そんなに気になるものなの?」
と思ってしまうこともありました。
でも今は、
息子には息子の“聞こえ方”があるんだろうな、と感じています。
同じ場所にいても、
受け取っている刺激の量は、きっと全然違う。
だからこそ、「慣れさせなきゃ」と急ぐより、
「今はどんなふうに感じているんだろう」
と考えることのほうが大切だったのかもしれません。
音への敏感さは、すぐに変わるものではありません。
それでも、
少しずつ世界を広げていく姿を見るたびに、
子どもって、自分のタイミングでちゃんと育っていくんだなと感じています。






