小2で教科書が8冊!?
夏休み前、息子が学校から持ち帰った2学期用の教科書を見てびっくり。しかも、まだ1冊届いていないらしい…?
日本では教科書を家に持ち帰るのが普通ですが、韓国では基本的に学校保管。今回が初めて、じっくり中身を見る機会でした。
この記事では、2024年度から始まった新カリキュラム対応の教科書(小学2年生・2学期分)を写真つきでご紹介します!
韓国の小学校は教科書が多すぎる!?
韓国の小学校では、学期ごとに新しい教科書が配られます。
2学期制なので、1年間に教科書を受け取るのは2回。たとえば、1年生や2年生の場合、1学期に9冊、2学期にも9冊——なんと合計18冊!
わが家では日本の教科書も受け取っているので、ちょっとした比較ができるんですが……
日本の小学校では、教科書の冊数が少なくコンパクトなのが特徴で、これぞ教科書!って感じ。
これだけでも、韓国の小学校の教科書とのちがいがわかります。

一方こちらが、息子が今回持ち帰ってきた韓国の教科書たち。
1冊はまだ学校に届いていないとのことで、今は8冊。
先生からは「夏休みのあいだに中身を確認しておいてくださいね」と言われました。
小2で教科書が9冊!? 日本とのちがいにびっくり
全部で9冊!
ちなみに、韓国では小学生の「算数」は、「数学(수학)」です。
びっくりしたのは、国語と数学だけで5冊もあるところ。しかもページ数が多い!
教科書というより、読み物+ワークブックという組み合わせで、それぞれしっかり使い分けられているんです。
統合教科ってなに?図工や道徳がテーマ別に!
残りの4冊(인물・계절・물건・기억)は、「統合教科」と呼ばれるジャンル。

日本でいうと、「生活科」「図工」「道徳」「総合学習」などをミックスしたような内容で、テーマ別に構成されているのが特徴です。
ちなみに1学期には、こんな教科書がありました:
季節や自分、地域や世界といった、子どもたちの身近なところから広がっていくようなテーマ設定がされています。
日本と韓国でちがう「時間割」の組み方
日本の小学校では、時間割といえば「国語」「算数」「生活」「音楽」「図工」など、教科ごとに決まっていますよね。
そしてその教科に対応する教科書があって、基本的には決まった時間割でずっと進んでいくスタイル。
でも韓国ではちょっとちがっていて、
国語と算数以外は「統合教科」として、「人物」「季節」みたいなテーマ名がそのまま時間割に出てきます。
たとえば、「1時間目:国語」「2時間目:季節」「3時間目:人物」みたいな感じ。
そして、教科書のどのページをやるかまで毎週決まっているので、毎週先生から時間割が送られてきます。
日本のように「1学期はこの時間割でいきます」ではなく、
学習の進み具合や行事に合わせて、時間割も毎週アップデートされるという、かなりフレキシブルな仕組み。
体育の授業はどこへ!? 運動も統合教科で
日本との違いは色々ありますが、韓国では体育が3年生から独立教科になることにも驚きました。
1年生の個人面談で担任の先生に聞いたときにびっくりした記憶があります。
つまり、1・2年生のうちは「体育」という時間はなくて、体を動かす活動はすべて統合教科の中に含まれているんです。

専門の先生が外部から来たりもしますが、正直、ちょっと物足りないな〜と感じてしまって…。
日本みたいに1年生から週に何コマか体育がしっかりある方が、体づくりにはいいんじゃないかなと思います。
特に小学生は、「ゴールデンエイジ」と呼ばれるくらい、運動能力がグンと伸びる大事な時期。
でも韓国では、体育系の習い事(体操、テコンドー、ダンスなど)で補うのが一般的です。
とはいえ、2024年度からは、子どもの肥満予防を目的に、運動の時間が2倍に増えたそうで、ここは改善されつつある様子!(出典:「国語授業時間の増加と新教育課程の発表」東亜日報(韓国語))
家庭だけじゃなく、学校でもしっかり体を動かせる環境が整ってくれると、よりバランスのいい学びにつながりそうです。
📌NOTEでも、韓国の学校生活についてカジュアルに発信しています!
「安全」も統合教科の中に
もうひとつ、韓国の教科書で印象的だったのが、安全教育がしっかり取り入れられていること。
火事や交通安全、防犯など、低学年にとって大事なテーマが自然に学びに組み込まれています。

全体としては、どの教科も子どもたちの生活とちゃんとつながっていて、日常の中で考えるきっかけになるような内容が多いなと感じました。
テーマに沿って、考えたり作ったり体験したり——そんな“まなびの実感”を大事にしているのが、韓国の統合教科の特徴なのかもしれません。
国語は3冊構成!読む・書く・話すが自然につながる
2024年度から、韓国の小学校では国語の授業時間が年間34時間も増加しました。
それに合わせて教科書の内容もガラッと変わり、より「表現力」や「思考力」を育てる構成に進化しています。

韓国の国語は3冊セット
韓国の国語教科書は、なんと3冊構成。
それぞれの教材にしっかりとした役割分担があります。
つまり、
読む → 話す → 書く
という流れが自然につながるように設計されているんです。
ハングルの練習から“考えて書く”まで
教科書には、ハングルの**発音の仕方(口の動きの図)や、받침(パッチム)を意識した練習問題などがしっかり掲載されています。
声に出して読む「音読」や、友達と交互に話す「対話練習」など、音と文字を結びつける学習がバランスよく入っている印象です。

そしてワークブック(국어 활동)では、とにかくたくさん書く!
うちの息子は、ハングルの練習ゼロで入学したので、1年生のときは読めても「字はほぼミミズ状態」(笑)
でも、2年生になってからはちょっと熱血系の先生がみっちり指導してくれて、
「読める字でなければ文字じゃないんだよ~」とがっつりサポート(笑)
最初はかなり苦労しているようでしたが、おかげで今では、ちゃんと読める字にレベルアップしました。
「考えを伝える力」を育てる問いかけ
ワークブックには、こんな問いがたくさん出てきます。
自分の言葉で考えをまとめる練習が、低学年から日常的に入っているのが特徴です。
だから、「○○について自分の考えを書きましょう」みたいな課題にも、子どもが自然と慣れていけるんですね。
算数も「説明する力」を育てるワーク
韓国の数学(算数)は、かけ算・単位・時間など、学ぶ内容は日本とほぼ同じです。
教科書を見てみると、日常生活と結びつけた“活用型”の課題が多いのが特徴。イラストも多い!

たとえば計算問題の横には、
といった問いかけがあって、ただ計算するだけじゃなく、自分の考え方を“言葉にする”練習が求められます。
なぜ早期教育が重視されているの?
最近になって、ママ友がよく言ってた
「算数の問題を解くには、国語の力がいるんだよ〜」という言葉の意味が、なんとなく分かるようになってきました。
ただ計算できればいい、じゃなくて、“どうしてそうなるのか”を言葉で説明できる力が必要なんですね。
それで思い出したのが、入学前の早期教育。
韓国では、ごく普通の家庭でも、幼稚園の頃から「訪問教育」という形で先生を家に呼んで、勉強を見てもらうのが当たり前だったなぁと。
でもこうして実際に授業で「書く力」や「説明する力」がバンバン求められるのを見てると、
ああ、これって最初からそういう前提で準備してたんだなと、納得せざるを得ませんでした。
先取り学習は小学生になる前から始まっているんですね~。

イラストたっぷり、目で見てパッとわかる
「物(물건)」の教科書には、”発明王になりたい”というタイトルで、
自分の筆箱の中身をキャラクターにしてみたり、傘や定規の改良アイデアを考えたりといった楽しい課題がたくさん!
まさにこれは、図工+生活+探究を組み合わせたような教科横断型の学び。実際に作ります。

という点がとてもよくできていて、子どもが自然と引き込まれてしまうような工夫が、本当にあちこちにちりばめられているんですよね。
韓国の教科書をじっくり見て感じたのは、
「考える → 話す → 書く」という流れが、どの教科でもすごく大切にされているということ。
1つの単元の中でこの流れをくり返し体験しながら、自然とアウトプットにたどりつくように設計されています。
教科書の冊数が多い理由、見て納得!
「韓国ってなんでこんなに教科書多いの!?」と最初は驚いたけれど、
実際に中を見てみるとその理由がよく分かります。
たとえば、「定規やテープを正しく使う方法」なんてページもあって、
「えっ、こんなことまで教えてくれるの!?」とビックリする場面も。靴ひもの結び方もあったような。

でも、それこそが子どもが“見て・やって・身につける”ための工夫なんだなと感じました。
ちょうど息子が1年生になった2024年度から、
新しいカリキュラム(2022年改訂)に合わせて教科書が大幅リニューアルされた年でもあり、
統合教科の冊数も以前の2倍に増えたとのこと。
全体的に、細部まで丁寧に作り込まれていて、子どもが使うことをしっかり意識している教材だと実感しました。
韓国では、2022年改定教育課程に基づき、新しい学習指導要領が2024年度から順次適用されています。
この改革では、低学年の国語授業が年間34時間増となり、総合的な表現力・安全教育・デジタルリテラシーの強化を含む、大幅な見直しが行われています。
▷詳細は教育部の公式ページにも掲載されています(英語)。
さいごに:日本と韓国の教科書のちがいとは?
韓国の教科書を見ていると、「考える → 話す → 書く」という流れが当たり前のように授業に組み込まれていることに気づかされます。
一見すると教科書の数が多くてびっくりしますが、
そのぶん内容はとても丁寧で、子どもが手を動かしながら“体験を通して学べる”工夫が随所に感じられました。
日本と韓国で、学ぶ内容そのものは大きく変わりません。
かけ算、文章読解、身の回りの生活など、共通点もたくさんあります。
でも、教科書の構成やデザイン、学びの進め方には、やっぱり国ごとのカラーが出ているなと実感しました。
「正しい答え」を出すだけではなく、
「どうしてそう思ったのか」「どう伝えるか」を育てる学びに力を入れている韓国の教科書。
その背景には、入学前の準備や家庭学習、そして先生たちの工夫など、いろんな仕組みがあるのだと思います。
もちろん、どちらが正解ということではありませんが、
お互いの違いを知ることで、自分たちの教育についても新しい視点が得られるのではないかなと感じました。
これから小学校に入るお子さんがいる方、
海外の教育スタイルに興味がある方の参考になればうれしいです◎