〜母アイバオとの768日間、そして新しい旅立ちへ〜
韓国・エバーランドで暮らす双子の姉妹パンダ、ルイバオとフイバオが、
ついに母親・アイバオと別れて独立を果たしました!

母子で過ごした768日間の温かな日々に区切りをつけ、
ふたりは今、新たな環境でそれぞれの“パン生”を歩み始めています。
パンダの親離れとは? 一般的な流れ
ジャイアントパンダは、基本的に単独で暮らす動物。
生後1年半〜2年ほどで親元を離れ、独り立ちするのが自然な流れです。
自然界では、母親が徐々に子どもとの距離を取り、独立へと導いていきます。
しかし、動物園では自然な環境が提供できないため、飼育員が段階的に分離のタイミングをつくっていく必要があります。
韓国・バオファミリーの独立トレーニング:3ステップ
エバーランドでは、双子のルイバオとフイバオがスムーズに独立できるように、以下の3段階トレーニングが実施されました。
これらの3段階を経て、韓国の双子パンダは8月12日に完全な独立を果たしました。
いよいよ、母子が完全に別々に生活するフェーズへ。
この段階では、再会の時間もなくなり、それぞれが新しい空間で新たな生活を始めます。
それぞれの個性と感動エピソード
トレーニング中、いつも最初に母親・アイバオを見つけて走り寄ったのはフイバオ(妹)。
お母さん大好きな性格が表れていて、対照的にルイバオの方は落ち着いていて、やや独立心が強そう。
ルイは飼育員さんと遊ぶのがもっと好きなのか、見つけるとすぐにくっ付いていきます。
どの段階でも、アイバオが子どもたちを探す姿が見られ、ファンの間でも「胸が痛む‥」との声が上がりました。
アイバオは長女プバオの独立を経験しているため、ある程度は理解しているようでしたが、ルイ&フイの双子たちは状況をよく理解していない様子で、むしろスムーズに独立が進んだといえます。
ちなみに、プバオもあまりお母さんと離れることを気にせず、新しい環境にすぐ慣れたという過去も。
お別れ直前、母パンダの複雑な気持ち
独立を迎える前日、食べるのが大好きなアイバオが珍しく食欲がなかったというエピソードも…。
そして子どもたちが独立して1週間以上経った現在も、アイバオは子どもたちを探しているが見られます。
室内に入る扉の前でじっと座っていたり、落ち着かずに歩き回ったり…。
アイバオの鳴き声を聞くと、ファンとしてはグッとくるものがあります。
そんな傷心のアイバオのために、飼育員さんたちは特別に工夫を凝らしています。
子どもたちが起きる前に屋外へ出して気分転換をさせたり、好物の新鮮な笹を用意したりと、細やかな配慮が感じられました。
こんな感じでママや飼育員さんが寂しさを抱えているのに対し、子どもたちはしっかり食べ、ぐっすり眠っているのがなんとも頼もしいですね(笑)。
パンダワールドの「セカンドハウス」公開へ
ルイバオ&フイバオの新たな居住スペースとなる「パンダワールド セカンドハウス」は、2025年8月末に工事完了予定。
9月中旬には一般公開される予定とのことです。(行かなくちゃ!)

これからはここで、独り立ちした双子パンダたちの新しい生活が始まります。
パンダ独立に関するよくある質問【FAQ】
パンダワールドの飼育員さんが動画の中で答えてくださっている内容から、よくある質問をまとめてみました。
Q. パンダ親子は独立するのはお互い辛くないの?
🗣️ 飼育員さん:
「辛いでしょうね。離れているのは大変ですが、乗り越えなくてはいけないこと。
双子たちは最初は少しお母さんを探していましたが、母のアイバオの方がもっと子どもたちを探していましたね。」
Q. 絶対に独立させなければならないの?
🗣️ 飼育員さん:
「はい。パンダは単独生活をする動物なので、1〜2歳の間に親から離れなければなりません。
独立は、“パン生(パンダの人生)”の新たな始まりのために必要な段階です。」
韓国で巻き起こる“独立反対”の声と、飼育士の葛藤
長女プバオのときは、初めての独立トレーニングに一部のファンから「親子を引き離さないで」という反対の声が上がりました。
SNS上でも「かわいそう」「家族を再会させてあげて」といった感情的なコメントが多数寄せられ、話題となったのです。
これに対してカン飼育員さんは、動画の中でこう説明しています。
「プバオと家族を会わせることは、独立を完了したプバオに混乱を招くだけでなく、アイバオには警戒心を与え、双子の妹たちにとっても脅威になりかねません。」
情に厚い国民性もあって当時は大きな話題になりましたが、今回の双子パンダの独立についてもニュースで取り上げられ、何らかの反応があるかもしれません。
とはいえ、これはパンダの“あるある”。
いまは双子に強い母性を見せているアイバオも、時間が経つと子どもたちとは“敵対関係”になってしまいます。
親子のつながりは薄れ、再会しても素通りすることさえあります。
以前、プバオがドアの外にいて、母と双子が内側でにらみ合いになったときは、こちらまで緊張感を覚えるほどでした。
自分の子どもなのに…と不思議に感じますが、近づきすぎると傷つけ合ってしまうため、一定の距離を保つ必要があるのです。
だからこそ、親子であっても早めに独立させるのが安全面で大切なんですね。
日本と韓国、パンダへの愛のかたち

同じアジアの国でありながら、パンダとの向き合い方には国ごとの違いが見えてくる──。
日本では、パンダの親離れは「成長の証」として見守られ、別れの瞬間には「おめでとう」「立派になったね」という祝福の声が多く寄せられます。
一方韓国では、家族の情を大切にする文化的背景からか、「かわいそう」「もう少し一緒にいさせてあげて」といった感情的な声がより強く表れる傾向にあります。
これはどちらが正しいという話ではなく、“家族”や“成長”に対する考え方の違いが、パンダという存在を通じて表れているのかもしれません。
でも、どちらの国の人々も、パンダたちのことを深く愛し、真剣に向き合っているのは同じ。 その優しさの表れ方が少し違うだけなのです。
最後に
私はパンダが大好きなので、日本のパンダたちの動画もよく見ます。
そのせいか、感覚的に「パンダは動物」という距離感で見ている日本と、「パンダも家族、もしかすると人間と同じかも?」と錯覚するほどに近い存在として接する韓国とでは、やっぱり違いを感じます。
だからこそ、私の周りでも「なんで独立しなきゃいけないの?」という声が多いのだと思います。
もちろん、パンダたちのことを考えれば独立は自然なこと。
「動物園にいるから大丈夫なんじゃない?」という考え方は少し危うい部分もあります。
とはいえ本当にそう思っているわけではなく、それくらい「可哀想だと思う気持ち」を表現している…そんな複雑でややこしい心情なんですね。(本当のファンならこういうことは言わないと思うw)
アイバオとルイバオ、フイバオが一緒に過ごした768日間は、愛情と絆に満ちた特別な時間でした。
別れは寂しいけれど、それは新しい「パン生」の始まり。
これからの成長を、静かに、そして温かく見守っていきたいですね。