〜1年半越しの“16時お迎え”を叶えるまで〜
6歳になる息子は、保育園でお昼寝ができない子です。どんなに疲れていても、布団に入っても、目はぱっちり。
年中クラスになってもその状況は変わらず、私たち家族はずっと保育園の方針との間で悩み続けてきました。
通っているのはお昼寝が必須のシュタイナー園。
「寝ないなら早退」というルールのもと、私たちは給食後すぐのお迎えを余儀なくされてきました。
息子は「みんなと最後までいたい」と言うようになりましたが、園からは「やはり早く迎えに来てください」との要望が続き…。
このまま卒園まで「昼寝できないから途中で帰る」生活が続くのか。
悩んだ末に、夫が先生と直接面談をすることになりました。
ぼくは、ぜったい寝ないの!
面談を前に、夫に伝えたこと
「意見が合わなかったら転園。もし先生が柔軟に対応してくださるなら残る。どちらでもいいから、気持ちを込めて伝えてきてほしい。」
私自身は、言いたいことをはっきり伝えるのが苦手。それに加え、韓国語で微妙な表現を使うのもハードルが高い。
だからこそ、夫に頼むことにしました。
先生との実際のやり取り
面談では、先生の言葉に一つひとつ真摯に向き合いながら、夫が丁寧に説明してくれました。

お昼寝できないようだから、お迎えを1時半にしてください
昼寝ができないという理由だけで午前保育のみになるのは、子どもにも親にも負担が大きすぎます。
保育料もきっちり支払っていますし、息子も『最後までいたい』と言っています。
妻は出産以来ほとんど休息の時間が取れておらず、これ以上短縮されれば、家庭にも悪影響が出ます。

生活リズムが整っていないのでは?親がなんでも許してしまって、お昼寝の約束が守れないのでは?
息子は毎日決まった時間に寝起きし、11時間しっかり睡眠を取っています。家庭での生活に問題はありません。
彼が眠れないのは、“安心できない環境”で眠るのが難しいタイプの子だからです。
今までどんなに疲れていても、親のいない場所では一度も昼寝をしたことがありません。

お母さんが韓国生活にもっと慣れたら、ストレスが減ってお子さんも落ち着くのでは?
妻は韓国生活に慣れていますし、韓国語が話せなくても現地で十分適応しています。
ストレスがあるとすれば、この“昼寝問題”だけです。
一歩も引かないやりとり。
でも、お互い感情的にならず、冷静に事実と希望を伝え合うことができたようです。
話し合いの場で大切なのは、相手の立場を尊重しながら自分たちの現実を伝え、提案する姿勢だと感じました。(ちなみに、先生と夫は普段から仲良しですw)
面談の結果──ついに「16時お迎えOK」に!
面談の終わり、先生から出た言葉はこうでした。
「来週から16時お迎えで結構です。」
思わず「おおおーっ!!!」と声をあげそうになるくらいの嬉しさ。
夢にまで見た、普通のお迎え時間がようやく叶いました。
もちろん条件つきで、「家庭でも引き続き努力を続けてください」とのこと。
でも、それは当然のことだと思っています。
それにしても…本当にすごい、夫。
私はもう半ば転園を決めて動いていたのに、まさか対話だけで状況を変えてくれるとは思ってもいませんでした。
5〜6歳、保育園でのお昼寝事情とは?
──“お昼寝が当たり前”ではなくなってきている
息子のお昼寝問題に直面してからというもの、「他の保育園ではどうしているのだろう?」と気になって、知り合いのママたちにいろいろと話を聞いてみました。
すると、多くの園では4〜5歳頃から昼寝をしない子が増えてくるそうで、年中クラス以降になると「お昼寝は希望制」「無理に寝かせない」など、子どもの発達や個性に合わせた対応をしている園も少なくないと知りました。
確かに、日中の多くの時間を保育園で過ごす子どもたちにとって、昼寝は大切な休息の時間です。
しかし、5〜6歳になると、必ずしもすべての子が昼寝を必要としているわけではないというのが現実です。
なぜお昼寝は必要?そして、必要なくなるのはいつ?
保育園でのお昼寝は、子どもの心身の回復と午後の落ち着いた活動のために設けられています。
とくに3歳前後の子どもは、午前中にたくさん遊ぶと疲れやすく、眠気やぐずりの原因になりやすいため、昼寝は必要不可欠とされています。
一方で、こども家庭庁が2023年に発表した会議資料では、以下のように述べられています:
「年齢が上がるにつれ、日中に睡眠をとらずとも活動できる子どもが一定数いる。夜間の就寝時刻の遅れや生活リズムの乱れにもつながる可能性があるため、昼寝の扱いには個別対応が望まれる」(こども家庭庁『乳幼児期における生活リズムの形成等について』p.6)
このように、昼寝は必要な子にはしっかり取りつつも、すでに体力がついてきた子や夜間に十分な睡眠をとっている子には、無理に寝かせる必要はないという考えが、行政レベルでも示されています。
つまり、昼寝は「みんながすべきもの」ではなく、「その子の状態に合わせて調整されるべきもの」という視点に、保育も少しずつシフトしつつあるのです。
つまり、お昼寝はあくまで“必要な子が、必要な分だけ”という考え方が主流になりつつあるのです。
「寝ない子」への対応は?“一律”から“個別配慮”へ
保育現場でも、「昼寝ができない子にはどう対応するか?」が問われるようになってきています。
厚労省の「保育の質の向上に関する資料集」では、実際の対応例として、
- 寝かしつけを無理にせず、静かな活動(絵本や塗り絵)を用意する
- 保育士の休憩を確保しつつも、子どもの個性に合わせた選択肢を設けることが重要
とされています。
つまり、現場としても全員一律で昼寝させるのではなく、“眠れない子がいても大丈夫”な環境づくりが求められているのです。
さいごに|話し合うことの大切さ
今回の出来事を通して、改めて感じたのは、「困ったときは、ちゃんと話すこと。」
そして、「家庭でもできる努力をしながら、園とも対話を続けていくこと。」
私はこの1年半、何度も自分を責めました。
「なんで眠れないんだろう?」「私の育て方が悪いのかな?」
同じ園のママたちに話を聞いてもらい、慰められながら、やっとここまで来ました。
ようやく16時お迎えになって、少しずつ“普通の園生活”に近づいていけるのかもしれません。
これからも、先生方との信頼関係を大切にしながら、息子が安心して過ごせるように、家庭でもできるサポートをしていきたいと思います。