「規則正しい生活を送る」「生活リズムを整えよう」とはよく言われますが、実際にどのような1日を送ると良いのでしょうか?
息子が通うシュタイナー保育園では、この「生活リズム」をとても大事にしていて、毎日同じことを繰り返すように過ごしています。
特に大きなイベントもないので、「退屈じゃないかな?」と思うかもしれませんが、毎日の繰り返しの中で子どもの心は安定し、成長につながると考えています。
今回は、保育園のリズムを参考にしながら、家庭でもできる子どもとの過ごし方を考えてみたいと思います。
シュタイナー教育だからと難しく考える必要がないほど素朴でシンプルなので、良いなと思う部分があれば家庭で取り入れてみてくださいね。
生活リズムを整えることで得られること
生活リズムを整えるために大切なのは、「睡眠」「食事」「遊び」の3つ。
きちんとした食事をして、おもいきり遊び、質の良い睡眠をたっぷりとりましょう。
一般的に、生活リズムを整えることのメリットを挙げてみます。
親がこどものリズムに合わせた生活をすることはなかなか難しいかもしれませんが、幼児期は生活リズムを整えやすい大切な時期だと思って、親自身の生活も見直してみてはいかがでしょうか。
同じ時間に起きて、朝ごはんもしっかり
毎朝、同じ時間に起きるようにします。もちろん週末も。
太陽の光で目覚められるよう、子どもが起きる時間の少し前にカーテンを開けてあげましょう。太陽の光は、体内時計をリセットしてくれます。
朝ごはんをきちんと食べましょう。
ごはんを食べることで、血液の循環が良くなり体温が上がります。また、しっかり噛むことで栄養が吸収されやすくなります。(息子は早食いなのでいつも注意されます、、親もゆっくりしっかり噛むことを見せてあげると良いそうです)
食べることに集中できるよう、静かな環境で食事ができると良いです。
シュタイナー保育園では、子どもたちもお話をしないで食事に集中するようにしています。
先生方は見守るように一緒に食事をし、気になる子がいれば、「大きな口で食べてごらん」「よく噛んで食べようね」と優しく一言だけ話し、おふざけが過ぎる子どもには、静かに叱っていました。案外小さい声で叱る方が効き目があるようです。
家庭でも同じように、子どもと一緒に楽しく食事ができるといいですね。
9:00【登園/自由遊び】
登園後の子どもたちは、「自由遊び→片付け→リズム遊び→おやつ→外遊び、、」と、毎日流れが決まっています。
登園した子どもは、室内で自由に遊びます。
園にあるおもちゃ(積み木、布、木の実、手作り人形など、単純で素朴なもの)はシンプルなものばかり。決められた遊び方がなく、子どもの創造力で遊び方がどんどん変わるので、幼児期にはとてもオススメです。
10:00【お片づけの時間】
10時になったら、鈴の音と先生の歌声で使ったおもちゃの「お片づけ」時間。
「えー、もっと遊びたい~」という子どもたちの声が可愛い。それでも先生たちは淡々と、子どもたちと一緒に片づけをしていきます。
縦割り保育のシュタイナー園では、2歳から6歳までの子どもたちが一緒に生活します。
小さい子たちは簡単にできるおもちゃの片付けをし、大きい子たちは、重いものや大きいものを運びます。
普段から先生に、「小さい子を手伝ってあげて」と言われると、すぐに駆け寄って片づけのお手伝いをしているので、当たり前のように自然と手伝うことができます。
息子は一人っ子なので、様々な年齢の子と触れ合える機会があって良かったと思います。自分が年下になったり年上になったりするなかで、たくさんの学びがあるよう。
家庭でもきょうだいがいれば同じようにできますね。「年上だから」ではなく、年齢に合わせてできることを教えてあげましょう。
10:15【リズム遊びの時間】
片付けが終わると、ライゲンという「リズム遊び」が始まり子どもたちが集中する時間。
午前中のリズム遊びは、輪になって座った状態で季節の歌に合わせた手遊び歌をします。先生の歌い方や動作をマネしながら、子どもたちも楽しく動きます。
簡単な手遊び歌や童謡などを親が事前に覚えておくと、子どもが一生懸命マネしようとします。
子どもたちは動画やCDよりも、お母さんやお父さんの声の方が遥かに嬉しいはず。とても良いコミュニケーションの時間にもなりますよ。
毎日必ず歌う歌と季節の歌をいくつか決めておいて、1ヵ月ほど毎日同じ歌を歌うようにします。
この時間に必ず歌うものは、朝っぽい歌や一日の始まりの歌など。季節が変わるときに新しい歌にかえるのも良いですね。子どもは自然に季節も認識しやすくなります。
10:45【おやつの時間】
リズム遊びで集中した後は、「おやつの時間」。
シュタイナー園のおやつは、週のリズムを感じられるようそれぞれの曜日に決まったおやつが出ます。
息子の通う園の場合、
月曜日:おかゆ 火曜日:ナッツと小魚 水曜日:ニンジンスティック 木曜日:季節の果物 金曜日:りんご と、素朴なおやつばかり。
全部食べて足りない場合は、「乾パン」をもらって食べます。
家庭では、子どもと一緒におやつを作るのもオススメ。
遊びのひとつとして調理の手伝いをすることで達成感も味わえるし、料理に興味を持ったり、苦手な食べ物を食べるようになったりとメリットが大きいですよ。
11:00【外遊び】
おやつが終わったら、子どもたちの大好きな「外遊び」の時間。
近くの公園まで散歩しながら、遊ぶ場所を決めます。
自由に遊ぶ時間なので、決められた場所のなかで子どもたちは体を動かし、感覚を働かせて遊びます。公園の遊具で遊ぶことはあまりなく、友だちと鬼ごっこをしたり、木の実や木の枝を集めて何かを作ったり、虫を見つけて遊んだりします。
また、雨の日でも雪の日でも、欠かさず散歩に出掛けます。
いつもと違った、傘をさしたりレインコートを着たりする散歩も、子どもたちには特別な思い出になるようです。
また、息子の通う園では、春と秋の気候が良い時期に、毎週1回山歩きに出掛けます。
年少さんから年長さんまでの子どもたちが一緒にバスに乗って近くの山に行き、歩いたりお弁当を食べたり遊んだりしてきます。(10時~13時頃まで)
12:00【園にもどって気持ちを落ち着かせる時間】
外遊びのあとは、薄暗い部屋の中央にローソクを灯して、また少し集中する時間。
カーテンなどで部屋を少し暗くしてローソクを火をつけると、子どもたちは自然と静かになり、外遊びで高揚していた気分がスッと落ち着きます。
また、先生がゆっくり歌いながら、ラベンダーのアロマオイルを子どもたち1人1人の手にポンポンとつけて回ります。
子どもたちは手や顔をゆっくりマッサージしながら、気持ちを徐々に落ち着かせます。
そのあとは、少しだけリズム遊びをしたり、お話(素話)を聞いたりして、お昼ご飯の時間になります。
先生の小さなお話は、絵本などを使わず、身振り手振りと声だけでお話を伝えるシンプルな手法の「素話」。グリム童話や日本の昔話などを語っていくのですが、あまり感情を出さないように淡々と伝えるようにします。
そうすることで、子どもたちは自然と集中力や聞く力がつき、頭のなかでたくさん想像力を働かせます。毎日同じ話でも子どもは飽きることなく聞きたがるので、1ヵ月くらいは繰り返すようにすると良いでしょう。
ここまでの過ごし方をみてみると、シュタイナー園では、「緊張と緩和(集中する時間と自由な時間)」が自然と交互になるような時間割になっていて、リズムのある生活を生んでいることが分かりますね。
午後の過ごし方
保育園での午後から帰宅までの時間は、
「昼食→自由遊び→お話→お昼寝→おやつ→帰宅」というような流れで進んでいきます。
12:30【昼食の時間】
食前には感謝のお祈りをします。家庭なら、「いただきます」で十分です。
シュタイナー園では、普通の公立の保育園・幼稚園のように給食センターから運ばれた給食ではなく、専門の給食の先生が来て調理をしています。
オーガニック食材を使った給食は、とても美味しく、心も体も健康になれそうです。
給食の内容は、素朴な昔からある和食(ここは韓国なので韓食)です。
味付けはシンプルですが、出汁が美味しく薄味でもとても美味しい。
ご飯は雑穀米、季節の野菜や海藻を中心とした献立です。発酵食品も体に良いので、息子の通う園では、毎回「キムチ」が出ます。
発酵しているキムチはとても酸っぱいですが、子どもたちは慣れたもの。辛いキムチも辛くないキムチ(白キムチ)も準備してあるので、子どもは自分で食べれる方を選んでいるようです。日本なら、納豆などに当たるでしょうか。
13:30~【お昼寝の準備~お昼寝】
給食を食べ終わった子どもから順に歯磨きをしてパジャマに着替え、少しのあいだ自由に遊びます。
家庭でそこまでする必要はないかもしれませんが、シュタイナー園では、お昼寝の時間を大切にしているので、しっかりパジャマに着替えます。
普通の服よりもパジャマの方が寝やすいのはもちろんのこと、脱いだり着たり何度もすることで、自分で着替る練習になります。
2~3歳の小さい子も、自分でカゴから着替えを持ってきてちゃんと着替え始めます。先生は遠くから見守るだけで、服が前後ろ反対でも注意をしたりしません。先ずは、「自分でやる」という自立心を大事にしたいですね。
小さい子たちは先に寝させ、4歳からは、お昼寝の前のリラックス時間。
先生が1つ小さなお話(素話)をしてくださったり、ライアー(ドイツの竪琴)の演奏を聴いたりしながらお昼寝へ。
ライアーは、シュタイナー教育で使う心地よい音色が出る小型のハープのような形をした楽器ですが、弾き方などもハープとは異なります。
余談ですが、映画『千と千尋の神隠し』の主題歌「いつも何度でも」で使われたそうです。(知らなかったので私も聴き直してみますw)
息子の通う園ではお昼寝は年長さんまで必須です。
敏感な息子は園で眠れませんが、布団で横になっているそうです。年齢が上がると時々眠れない子どももいるようですが、家庭でもお昼寝の時間帯は活動的な遊びではなく、ゆったりと過ごすようにしましょう。
15:00【午後のおやつと室内遊び】
お昼寝から目覚めた子どもから順に、午後のおやつの時間になります。
午後のおやつは、腹持ちの良い「季節の果物、蒸かしたサツマイモやジャガイモなどの野菜、お餅、手作りパン、キムチチヂミなど」が出ます。
味付けはできる限り薄味にします。素材の味が良ければ美味しく食べれますし、シンプルな味を好むようになります。
シンプルな手作りパンには、甘さを抑えた手作りジャムやはちみつを少し添えて。子どもたちに大人気のおやつ。
家庭でおやつを作るときも、玄米、はと麦、ライ麦、小麦、米粉など様々な穀物を使うと良いでしょう。こちらでは、小麦粉の代わりによく米粉を使います。
おやつを食べ終わったら、室内か庭で自由遊びをしながらお母さんたちのお迎えを待ちます。
室内で遊ぶときは、クレヨン画、にじみ絵、はた織りなど、年齢ごとにできることをそれぞれのペースで行います。
夜の過ごし方
乳幼児期の睡眠は、脳や身体の発育・発達に大きく影響します。
夜、スムーズに眠りにつくために大切なことは、まず寝るまでの段取りを決めて、その順番で毎日繰り返すことです。「〇時に○○をする」と時間も決めてしまうともっといいですね。
こうした順番と時間を守ることで子どもは、「もう寝る時間だ」という意識が高まり寝かしつけも楽になります。
寝るまでの段取りは、
お風呂 → 夕食 → 歯磨き → トイレ → 寝室へ → (寝る前の儀式)絵本、子守唄、マッサージ等 →就寝
たとえば、このような順で流れるように時間を過ごし、電気を消して静かな環境を整えて眠りに就くようにします。
テレビ視聴は、就寝時刻が遅くなったり睡眠時間が短くなりやすいので、夕方以降は、テレビを見せない方がスムーズに進みます。
夜になるにつれて、カーテンを閉めたり部屋の明かりを暗めに調節したりすると、子どもたちの体は寝る準備を始めるのでオススメです。
我が家は寝る前に、
アロマオイルをつける→布団に入る→
絵本を読みながら就寝というパターンです
保育園と同じく、我が家もヴェレダのオイルがお気に入り。
ヴェレダ(WELEDA)という社名やロゴはシュタイナー氏が作ったものなんですよ~。
さいごに
「体」を育てる時期の子どもたちにとって、規則正しい日常生活を整えることは重要であることは言うまでもありません。
無理に時間通りにさせるのではなく、体内時計の働きを利用して、自然にそうであるように子どもの生活リズムを整えていくのが良いのではないかと思います。
今回は息子の通うシュタイナー保育園の例をご紹介しましたが、私も家庭と園での生活はできるだけ同じようになるように心がけています。
シュタイナー保育園では、1日のリズム、1週間のリズム、1年のリズムが決まっています。
家庭では全く同じでなくても、例えば食事なら、「〇曜日はお肉、〇曜日は魚を食べる」など決めておくと子どももリズムを感じやすいですし、親も自然と1週間の献立が立てやすくなるかもしれません。
そして、季節の特別な行事を計画するのも楽しいものです。
誕生日やクリスマス、お盆やお正月など季節のリズムに合わせたイベントは、1年のリズムを感じやすく、子どもたちにはとても思い出深い体験になるでしょう。
シンプルなことばかりですが、小学校低学年までの子どもには効果的な方法ですので、みなさんのリズム生活を見直すヒントになればと思います。